【合格体験記】本番前用の手控え ~本番前の準備と本番中の思考の橋渡し~

1 はじめに

今回は、私が作成した本番前用の手控えをアップします。

これまで、(ⅰ):「~普段の勉強方針~」として本番前にどのような準備・演習をするべきか、また、(ⅱ):出題趣旨を外さないために「~本番中考えること~」、について記事を書いてきました。これは、(ⅰ)が事前に準備すべき事項であり、(ⅱ)が本番中に思考・実行すべき事項といえます。

今回の手控えは、私が(ⅰ)の普段の勉強の際に、過去問演習などをするに際して気をつけておくべきだなと考えるに至った点、及び、(ⅱ)本番中にどのようなことを考えるべきなのかについて、過去問演習を通じて得た各科目毎の留意点や思考枠組みをメモしたものです(★この手控えは、各種文献、出題趣旨や採点実感などの資料に基づいて作成されています。)。

ですので、以下の手控えは、上記(ⅰ)及び(ⅱ)の橋渡しというべき位置づけになります。私は、この手控えを印刷して、司法試験の休憩中や直前期のスキマ時間に目を通していました。

本番前用の手控えは、自らの普段の過去問演習等を踏まえて、自分自身で作成することが有益だと思います。私の手控えが、読んでいただいた方の手控え作成の参考になれば幸いです。

なお、私の手控えは、作成してからだいぶ時間が経っており、また、あくまでも一受験生の作成したメモにすぎないので、内容の正確性については十分に吟味していただき、批判的な目で読んでいただけると幸いです。 “【合格体験記】本番前用の手控え ~本番前の準備と本番中の思考の橋渡し~” の続きを読む

【合格体験記】独学で司法試験・予備試験に挑む ~普段の勉強方針~

1 私のバックグラウンド

今回は、合格体験記を書こうと思います。

私は、大学3年生の頃から、本格的にロー入試・司法試験の勉強を始めました。ロースクールには既修で入学し、ロー3年生の時に予備試験に合格の上、1回目の受験で司法試験(平成26年度)に合格することができました。

金銭的な理由から予備校の講座を利用できなかったため、基本的に独学です。予備校は、ロー入試、予備試験や司法試験の際に、答練や模試をピンポイントで利用する程度でした。

私は予備校に批判的ではありません。むしろ、予備校の講座は非常に分かり易いので、初学者で金銭的にも余裕がある方は、利用するのがよいと思っています。予備校も基本書も、要は使い方次第だと思います。 “【合格体験記】独学で司法試験・予備試験に挑む ~普段の勉強方針~” の続きを読む

【合格体験記】出題趣旨を外さないために ~本番中に考えること~

1 はじめに

最近、後輩から司法試験の勉強方法について質問を受けることが多いので、今回から合格体験記を兼ねて、幾つか記事を書いてみようと思いました。

合格体験記や一般的な勉強方法に関する素晴らしい書籍・ブログは数多く存在しており、私も受験生の時にかなり参考にさせて頂きました。しかし、これらの内容は、本番以外の時間に合格者はどのような準備をしていたのか、というものばかりでした。

実のところ、私が受験生時代に真に知りたかったことは、受験生、とりわけ合格者が「論文式試験の本番中に」どのようなことを考えながら合格答案を作成したのか、ということでした。ただ残念ながら、私の知る限りそのような内容の書籍・ブログ等を見たことがありません。 “【合格体験記】出題趣旨を外さないために ~本番中に考えること~” の続きを読む

伝聞証拠のサンプル答案 ~平成25年刑訴設問2~

[設問2]
第1 実況見分証書全体について
 1 伝聞法則(320条1項)の適用により原則として証拠能力を欠く「証拠」とは、要証事実との関係で内容の真実性が問題となる原供述を含んだ書面または供述証拠をいうと解する。なぜなら、原供述の知覚・記憶・叙述の各過程に誤りが入っていないかにつき反対尋問(憲法37条2項)などの信用性テストができず、誤判のおそれが大きいからである。
   本件の実況見分調書(以下「本件調書」という)は、捜査官Pが五官の作用で認識した内容を、口頭の報告に代えて書面で報告するものであり、報告内容の真実性が問題となる。故に、本件調書は伝聞証拠であり、原則として証拠能力を欠く。甲の弁護人の同意(326条1項)がない本件にあっては、321条3項の伝聞例外が認められるかが問題となる。 “伝聞証拠のサンプル答案 ~平成25年刑訴設問2~” の続きを読む

伝聞証拠のサンプル答案 ~平成23年刑訴設問2~

[設問2]
第1 資料1・2全体について(Pの供述過程)
 本件の証拠調請求にかかる証拠は、Pが印刷したメール①②をそれぞれ添付した各捜査報告書である。これらは、Pの口頭による報告に「代えて書面を証拠」とするものであるから、原則として証拠能力がない(320条1項)。弁護人は資料1・2いずれに対しても不同意としており、326条1項による伝聞例外は認められない。もっとも、資料1・2は、Pが認識したメールの文面を印刷・添付したものであるから、五官の作用によって得た認識を書面で報告するという検証に類似するものとして、「検証の結果を記載した書面」に包含され、作成者であるP が「真正に作成」した旨を供述した場合は、321条3項の伝聞例外を満たす。 “伝聞証拠のサンプル答案 ~平成23年刑訴設問2~” の続きを読む