【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)

【刑事訴訟法】6頁目の20行目くらい

[設問1]
第1 ①と②の甲の取調べの適法性について
 ⒈ P・Qらは、甲に対して、連日にわたり宿泊を伴う「取り調べ」(刑事訴訟法(以下、略)198条1項本文)をしているが、これは適法か。
   被疑者に対する取り調べは任意捜査なので、「強制の手段」(197条1項但書)によることは許されない。そして、「強制の処分」とは、個人の意思を制圧し、身体・住居・財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を達成する手段、をいう。 “【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第1問(刑法)

【刑法】7頁目の2~3行目くらいまで

第1 甲の罪責
 ⒈ 甲は、Aに授乳等を一切せずAは死亡しているが、この甲の行為に殺人罪(刑法(以下、略)199条)または保護責任者遺棄致死罪(219条)が成立しないか。まずは、重い罪である殺人罪から検討する。なお、両罪の区別は、殺意(199条、38条1項本文)の有無による。
 ⒉⑴ まず、Aは「人」(199条)である。
  ⑵ア 次に、甲の行為は、Aに授乳等を一切しないという不作為である。そこで不作為でも「殺した」(199条)といえるかが問題となる(不真正不作為犯)。
     実行行為とは、構成要件的結果発生の危険を有する行為をいう。この危険の創出は、不作為によっても可能である。また、刑法は、禁止命令だけでなく、一定の場合に作為を命ずる法規範である。故に、不作為でも実行行為性が認められる。もっとも、刑罰の謙抑性からして、ⅰ作為義務、ⅱ作為の可能性・容易性、ⅲ作為との同価値性、が認められる場合に限り認められると考える。 “【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第1問(刑法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第3問(民事訴訟法)

【民事訴訟法】6頁目の2~3行目くらいまで

[設問1]
⒈ 本件では、X・A・B社が、L1・L2・Cを介して訴訟上の和解(民事訴訟法(以下、略267条)、をしている(以下「本件和解」という)。しかし、本件和解当時、B社の真の代表取締役は、登記されていたCではなく、Dであった。そして昭和45年最判によると、訴訟手続においては表見法理の適用はないとされているので、このままでは、本件和解の効力は、B社に及ばないこととなるおそれがある。そこで、以下では、本件和解の効力がB社に対して及ぶ方向で、立論・検討する。
⒉ 昭和45年最判は、次のような理由で、訴訟手続における表見法理の適用を否定している。すなわち、①表見法理は、取引の安全を図るために設けられた規定であり、取引行為とは異なる訴訟手続には適用されない。②旧商法42条は表見法理だが「裁判上ノ行為」を除外している。
⒊ しかし、昭和45年最判の理由付けは、代表取締役がした訴訟上の和解については、妥当しないと考える。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第3問(民事訴訟法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第2問(会社法)

【会社法】5頁末行まで

[設問1]
第1 Cの主張とその当否について
 ⒈ まず、Cは、本件株式発行の無効確認の訴え(会社法(以下、略)828条1項2号)を主張することが考えられる。しかし、本件株式発行は、平成24年6月10日にされた旨の登記が同年同月20日にされており(別紙)、現時点は平成26年4月であるから、「1年以内」(828条1項2号括弧書。公社は非公開会社である(別紙))とはいえない。故に、この主張は認められない。
 ⒉ そこで、Cは、本件株式発行の不存在確認(829条1号)を「訴えをもって」(同条号柱書)請求(主張)すべきである。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第2問(会社法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第1問(民法)

【民法】6頁目の末行まで

[設問1]
⒈ Aは、以下のように考えて、下線を付した部分(以下「本件下線部」という)の法律上の意義を説明することで、Cによる解除は認められないと主張すればよいと考える。
⒉ AとCは、甲建物の1階部分につき、賃料月25万円として賃貸借契約(民法(以下、略)601条)をした。しかし、賃借人たるAは甲建物に免震構造があると思っていたが、実際は、免震構造はなく、法令の耐震基準を満たしているだけであった。
 ⑴ そこで、まず、Aとしては、609条の賃料減額請求が考えられるが、Aのフラワーショップは繁盛しており、その「収益」が、賃料月25万円より少ないとは考え難く、認められない。
 ⑵ また、611条1項の賃料減額請求が考えられるが、上記免震構造を備えていない原因は、建築業者の手抜き工事という契約前の事情であるから「賃借物」が「滅失」したとはいえず、これも認められない。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第1問(民法)” の続きを読む