【再現答案】平成26年度司法試験選択科目(知的財産法)

【知的財産法】両科目とも4枚末行目まで

●特許法
[設問1]
第1 乙行為1について
 ⒈ 本件発明は「物の発明」(特許法(以下、略)2条3号)である。甲は本件発明の本件特許権者(68条本文)であり、乙行為1は、その「技術的範囲」(70条1項)に属する医薬品を、乙が甲に無断で製造、つまり「生産」するものであり「実施」(2条3項1号)にあたる。甲は、乙が特許権を侵害したから、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を主張する。なお、乙の過失は推定される(103条)。 “【再現答案】平成26年度司法試験選択科目(知的財産法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)

【刑事訴訟法】6頁目の20行目くらい

[設問1]
第1 ①と②の甲の取調べの適法性について
 ⒈ P・Qらは、甲に対して、連日にわたり宿泊を伴う「取り調べ」(刑事訴訟法(以下、略)198条1項本文)をしているが、これは適法か。
   被疑者に対する取り調べは任意捜査なので、「強制の手段」(197条1項但書)によることは許されない。そして、「強制の処分」とは、個人の意思を制圧し、身体・住居・財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を達成する手段、をいう。 “【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第1問(刑法)

【刑法】7頁目の2~3行目くらいまで

第1 甲の罪責
 ⒈ 甲は、Aに授乳等を一切せずAは死亡しているが、この甲の行為に殺人罪(刑法(以下、略)199条)または保護責任者遺棄致死罪(219条)が成立しないか。まずは、重い罪である殺人罪から検討する。なお、両罪の区別は、殺意(199条、38条1項本文)の有無による。
 ⒉⑴ まず、Aは「人」(199条)である。
  ⑵ア 次に、甲の行為は、Aに授乳等を一切しないという不作為である。そこで不作為でも「殺した」(199条)といえるかが問題となる(不真正不作為犯)。
     実行行為とは、構成要件的結果発生の危険を有する行為をいう。この危険の創出は、不作為によっても可能である。また、刑法は、禁止命令だけでなく、一定の場合に作為を命ずる法規範である。故に、不作為でも実行行為性が認められる。もっとも、刑罰の謙抑性からして、ⅰ作為義務、ⅱ作為の可能性・容易性、ⅲ作為との同価値性、が認められる場合に限り認められると考える。 “【再現答案】平成26年度司法試験刑事系第1問(刑法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第3問(民事訴訟法)

【民事訴訟法】6頁目の2~3行目くらいまで

[設問1]
⒈ 本件では、X・A・B社が、L1・L2・Cを介して訴訟上の和解(民事訴訟法(以下、略267条)、をしている(以下「本件和解」という)。しかし、本件和解当時、B社の真の代表取締役は、登記されていたCではなく、Dであった。そして昭和45年最判によると、訴訟手続においては表見法理の適用はないとされているので、このままでは、本件和解の効力は、B社に及ばないこととなるおそれがある。そこで、以下では、本件和解の効力がB社に対して及ぶ方向で、立論・検討する。
⒉ 昭和45年最判は、次のような理由で、訴訟手続における表見法理の適用を否定している。すなわち、①表見法理は、取引の安全を図るために設けられた規定であり、取引行為とは異なる訴訟手続には適用されない。②旧商法42条は表見法理だが「裁判上ノ行為」を除外している。
⒊ しかし、昭和45年最判の理由付けは、代表取締役がした訴訟上の和解については、妥当しないと考える。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第3問(民事訴訟法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第2問(会社法)

【会社法】5頁末行まで

[設問1]
第1 Cの主張とその当否について
 ⒈ まず、Cは、本件株式発行の無効確認の訴え(会社法(以下、略)828条1項2号)を主張することが考えられる。しかし、本件株式発行は、平成24年6月10日にされた旨の登記が同年同月20日にされており(別紙)、現時点は平成26年4月であるから、「1年以内」(828条1項2号括弧書。公社は非公開会社である(別紙))とはいえない。故に、この主張は認められない。
 ⒉ そこで、Cは、本件株式発行の不存在確認(829条1号)を「訴えをもって」(同条号柱書)請求(主張)すべきである。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第2問(会社法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験民事系第1問(民法)

【民法】6頁目の末行まで

[設問1]
⒈ Aは、以下のように考えて、下線を付した部分(以下「本件下線部」という)の法律上の意義を説明することで、Cによる解除は認められないと主張すればよいと考える。
⒉ AとCは、甲建物の1階部分につき、賃料月25万円として賃貸借契約(民法(以下、略)601条)をした。しかし、賃借人たるAは甲建物に免震構造があると思っていたが、実際は、免震構造はなく、法令の耐震基準を満たしているだけであった。
 ⑴ そこで、まず、Aとしては、609条の賃料減額請求が考えられるが、Aのフラワーショップは繁盛しており、その「収益」が、賃料月25万円より少ないとは考え難く、認められない。
 ⑵ また、611条1項の賃料減額請求が考えられるが、上記免震構造を備えていない原因は、建築業者の手抜き工事という契約前の事情であるから「賃借物」が「滅失」したとはいえず、これも認められない。 “【再現答案】平成26年度司法試験民事系第1問(民法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験公法系第2問(行政法)

【行政法】5頁目末行まで

[設問1]
第1 本件要綱の法的性質とその効果について
 ⒈ 本件申請は、採石法(以下、「法」という)33条に基づく申請である(法33条の4には「申請」とある)。本件申請は「法令」に根拠がある(行政手続法(以下、「行手法」という)2条3号)。また、法33条が財産権(憲法29条)という重要な権利についての処分であることから、行政庁には「応答」義務があるといえ、本件申請は行手法2条3号の「申請」にあたる。法令に根拠があるから行手法3条3項の適用除外もない。
   故に、本件採石認可拒否処分は申請に対する処分である。
 ⒉ そして、法33条の2第5号は採石法施行規則(以下、「規則」という)8条の14に、法33条の3第2項は規則8条の15に、それぞれ委任をしているが、これら規則は、本件要綱に対して何ら委任をしていない。
故に、本件要綱は審査基準(行手法5条1項)である。これは法規命令ではなく、行政規則としての法的性質を有する。 “【再現答案】平成26年度司法試験公法系第2問(行政法)” の続きを読む

【再現答案】平成26年度司法試験公法系第1問(憲法)

(司法試験再現答案の掲載について)
 私が受験・合格した平成26年度司法試験論文式試験の再現答案を掲載致します。
ご覧になる際は、下記の点についてご留意ください。

 ①再現答案の作成は本試験最終日の翌日からすぐにとりかかりましたが、長丁場の試験だけあって、答案構成を見ても正確に記憶を喚起できませんでした。そのため、再現率はあまり高くないかと思います。
 ②再現の下に付した「★感想」は、試験終了直後と再現答案作成時のものであって、各記事をアップした時点のものではありません。
 ③あくまで再現答案ですので、内容の正確性を保証するものではございません。各人のご判断の下に参考にしてください。

 上記は後日アップする各科目の再現にも妥当するものなので、これらを前提に、読んでいただければ幸いです。
 本日は、公法系第1問(憲法)をアップします。 “【再現答案】平成26年度司法試験公法系第1問(憲法)” の続きを読む

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