1 はじめに
今回は、伝聞証拠の答案作成において、多くの受験生が混乱している(と思われる)部分について書きたいと思います。
混乱の主な原因は、「要証事実」という概念が基本書や演習書において多義的に用いられていることから、受験生がいざ答案を書こうとするときに、自分が「要証事実」という概念を、どのような意味で用いているのかを意識できていない点にあると思われます。
以下では、まず、要証事実を主要事実と間接事実に分解し(→2)、次に、証拠構造のパターンについて説明します(→3)。また、伝聞証拠の問題で要証事実が何かを考えるにあたっては、①本件において存否が問題となる主要事実は何か(→4)、②立証趣旨は主要事実そのものを指しているか間接事実を指しているか(→5)、を分析する必要がありますので、これらについても説明を加えていきます。
なお、今回の記事は司法試験の問題を分析するという限度において役立つ視点を提供することを試みるものですので、基本書や演習書における説明とは必ずしも一致しない部分がある点に注意してください。
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